ほろ苦な夏を噛みしめて=夏の終わりの出来事③ [人生の午後三時]
あぁ、絵に描いたような平凡な人生。
美女と冒険とも無縁なまま終わるんだろうか?
真夏に生まれて、夏の終わりに死んでいく…
思えば儚い人生だったなぁ…などと考えていると再び医師登場!
「どんな風に眩暈がしたの?目の前が白くなった?それともぼやけた?
グルグル回ったの?そう…回ったのね、回転性の眩暈だね?」
眼をライトで照らされ…こっち見てとか言われ…
掌を結んで、開いてしたり…人差し指で指示された場所を指したり…
診断の結果は…
「大丈夫。ただの眩暈だね。三半規管が異常を起こしたんだね」
「はぁ…」それって…大丈夫じゃないよね?
「ちょっと、これ…CTの結果を見て」いや…今起きられませんので…
「あっ、ダメかぁ?じゃ、奥さん見て」
要するに、脳には特に異常なし…
脳梗塞とか、脳卒中とか、脳内出血とかではないとのこと。
「とりあえず点滴して…薬出しとくから、朝昼晩飲んでね」
「はぁ…あのぉ…」えぇ~っと入院するんでしょうか?何日くらい…
「点滴終わったら、帰っていいですよ」
「えっ?」「はぁ?」夫婦で聞き返す。
「もう大丈夫だと思います」
まだ…眩暈してるし、吐き気がするし…起きられないんですけど?
「心配でしたら、明日にでも精密検査してみてください」
そのまま点滴を受けて…少々休ませてもらう。
午後8時過ぎに…妻と娘に支えられて、かなりフラフラしながらも帰宅。
帰宅後…着替えようとして、また布団に倒れ込む。
部屋は激しくグルグルと回る。その後、激しく嘔吐。
落ちついてから薬を飲むが、眠れず。
夜中に寝返りをうとうとして、また眩暈と吐き気に襲われる。
暗闇の中…やはり…時世の句が必要かなぁ…などと考えつつウトウト…
翌日も起きあがれず…仕事場に電話する。
「あのぉ…昨日…家で倒れてしまって…」
「えぇ?家が倒れたぁ?」
「いや…あのぉ…自分…です。」
「えっ!倒れたぁ?だっ…大丈夫なのかぁ…」
「はぁ…ただの眩暈だそうで…」
今日休みたいと言うと、木曜日だったので、念のため金曜も休んだら?
との言葉に、ありがたく二日間休むことに。
相変わらず、立とうとすると眩暈と吐き気が襲う。
午前中はほとんど起きられず、ただ天井を眺めて過ごす。
午後になって、妻に連れられて病院へ。
立ち上がること、歩くこと、座っていることさえ出来ない。
当たり前のことが、誰かの支えなしには出来ない身体がもどかしく不安。
午前中に妻が予約していたMRI検査を受ける。
指示されるまま、台に固定されて筒の中へ…
カコン、カコン…ウィ~ン、ウィ~ン…
ビィ~ン、ビィ~ン…ガガァン、ガガァァン…
真っ暗闇の中で、やたらと金属的な騒音に耐えること20分。
検査の結果は、異常なし。
「脳にはまったく問題ありませんね。大丈夫です。眩暈だけですね」
「そうですか…」眩暈だけでも、こちらにとっては充分問題なんだがなぁ…
「薬を飲んで、安静にしてください」
「あのぉ…原因は何でしょう ?」恐る恐る聞いてみた。
「たぶん、三半規管ですかね…年をとるとあるんです…耳鼻科的なものだね」
「すると耳鼻科に行ったほうがいいですか?」
「耳鼻科に行っても同じですね。鼓膜の中まで見えないでしょ?」
「はぁ…」そりゃ見えないだろうけど…そういう問題なんだろうか?
「眩暈はねぇ…本人にとっては死ぬかと思うような苦しさなんだけど…
これといった処置はできないんです…ご本人は、それだけって感じで…
とりあえず薬を飲んで、安静にしてください。それしかないんです。
もし…癖になるようなら、さらに詳しく検査が必要ですが…大丈夫ですよ」
「はぁ…わかりました」
あれから…数日は眩暈と吐き気がが残ったものの徐々に快復。
時々、フラつくような感じはあるけれど…
その後は、特に眩暈もなく普段どおりの生活に戻っている。
今まで、風邪をひいて寝込んだりしたけど…
どこか自分は健康なんだと根拠のない自信を持っていた。
しかし…今回は思い知らされてしまった。
自分は、年齢とともに、確実に衰えている。
あたりまえに立っていること…
それさえ難しいほどに衰えていくのだ…
生まれて、歩きはじめた子供のように…
自分は危なっかしい存在になっていたのだ。
考えてみれば、二本の足で立つことは…奇跡に近い。
人類が立ち上がってから、いったい何十万年経っただろうか?
積み重ねられた努力が、今日…自分を立たせて、歩かせている。
残り少ないであろう人生だが、これからは…感謝して生きよう。
立てること…歩けることに…感謝して一歩一歩踏みしめて行こう。
夏の終わりのほろ苦い一日…
人生の午後三時は…確実に時を刻んでいる。
今日も訪ねてくれてありがとうございます。
今も立ち続けるあなた…
明日は、踏み出す一歩が未来へと続きますように…
おやすみなさい
他人の苦しみはわかりにくいですしね。若いお医者さんではわかりようもないか。
脳に障害がないということでよかったですね。私もCTが撮りたい。少し不安で。
by 春分 (2008-09-14 07:56)
ねぇ、一度、心療内科にいったみたら
以前の僕の症状に似ているよ。
ね、グスさん。
by こうちゃん (2008-09-14 11:19)
眩暈で起きられない事は、大変な事ですよね。
脳に問題がないからいいってもんでもないでしょう、QOLって言う割には無頓着なお医者様がいるんですよね。
秋草が、美しい!
by selybar (2008-09-14 14:16)
あのガー、ガー、ピー、ピーの20分間、熟睡していたのは私です(笑)
確かに人は衰えていくんでしょうけど、気持ちまで落ち込まないでね。
心配だったらやはり良い病院へ行きましょう!!!
by achami (2008-09-14 17:18)
めまいですか。。。
昔、まだ20歳台の後半だったと想いますが、やっぱりひどい目まいで起きられなくて…
ちょうど、遊園地のビックリハウスのように体を起こすと部屋が廻るのです。
トイレにも、はって行ったような記憶が…
もう一日同じようだったらと病院へ行こうと想って、一日中寝ていました。
その後、治まったので病院に行きませんでしたが、後でDr.に聞いたら「軽い急性のメヌエルのようなmonoだったんじゃないかな?」との事でした。
三半規管の不調があったのでしょうか?
その後3ヶ月後、テニスをしていてバランスを崩して、転んでしまって左肘の関節を骨折して1ケ月入院してしまいました。。。
どうぞ、一度きちんとした検査をお勧めします。
ちなみに、この時は精神的に辛い事があって、心の方のバランスも崩れていたと想います。
by ほんのり (2008-09-14 20:19)
人生の午後三時は いろいろストレスを抱えてしまう年齢なのですね。
こんな形で 疲れが溢れ出てしまったのかもしれませんね。
大事にならなくて 本当によかったです。
どうぞ お大事に・・・。
by タックン (2008-09-14 20:31)
メニエルでしょうか? ウチの母も随分それで苦しみました。
目まいだけでなく、始まると上下から・・・吐き気と・・・。
それですっかり、いつ起こるかわからない不安でひきこもりかちになってしまいました。
でも、いまはいい薬もあるようです。合う合わないがあるようですが、
お大事にしてください。
by こぎん (2008-09-15 09:31)
大変でしたね。
わたしも今年になってから腰痛で寝込んだりして大変でした。
だんだんと体にガタがきています。
by tanaka-ma3 (2008-09-15 10:17)
春分 さん>
ご心配いただきスミマセン…
気になることがあれば、是非検査をオススメします。
安心できますよ、ほんとに。
こうちゃん >
やっぱり…そうかなぁ…
いや、ほんとにそうしてみようかと思ってます。
selybar さん>
ありがとうございます。
身体に自信があっただけに…
ショックが大きかったんでよね。
achami さん>
えぇ!?眠れましたかぁ??
身体も弱くなると…あとは気力しかないからなぁ。
気持ちだけはいつも元気でいないとね。
ほんのり さん>
ご心配いただきスミマセン…
確かに、気持ちというか精神的に状況が悪かったかも?
落ちついたら、しっかり検査するつもりです。
タックン さん>
ご心配いただきスミマセン…
長い間、無頓着に酷使してきた身体と心…
いよいよ我慢しきれずに訴えてきたのかもしれません。
こぎん さん>
ほんとに苦しかったです(T_T)
今も不安になることはありますね…
その後、特にないんですけど。
tanaka-ma3 さん>
ご無沙汰しています。
お互いに身体には気をつけて…
もっと楽しみましょうね。
by GUSUKO-BUDORI (2008-09-15 20:08)
ええ~? ずいぶん長く辛い状態が
続いたのですね! そうそう、眩暈って、本人は
死ぬほど辛くてめちゃめちゃ苦しいのに、医者へ行ったら
「理由はわからないし、いろいろな場合が考えられるから」って
私も何故か「うつチェック」なんてシートに回答させられたんですよ!
なんか、これほど虐げられている病気もないんじゃないか
って怒りも感じられるほどですよね。
私の場合は1日寝ていて治まったので検査は血液検査程度でしたけどね。
お大事になさってくださいね。
by jewel (2008-09-16 14:51)
ご無理をなさらずに、お大事に^^
by ミヤ (2008-09-17 16:02)
私も、眩暈で苦しんだことがあります。
MRIのお世話にもなりましたが、ただの眩暈でした。
最近はよい薬もあって程なく治りました。
GUSUKOーBUDOR様も、早くよくなりますように。
by mamire (2008-09-17 17:07)
jewel さん>
ほんとにそのとおりです!
なんだかわかってもらえない感がすごいです。
ミヤ さん>
ありがとうございます。
mamire さん>
やっぱりそうでしたか?
自分も今は薬を呑んでいます。
by GUSUKO-BUDORI (2008-09-17 21:38)